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【成功率90%超】サンスベリアの「葉挿し」完全マニュアル:最適な葉の選び方と水差し・土植えの比較

サンスベリア葉挿し

この記事でわかること

  • サンスベリアを「葉挿し」で増やすための基本知識とメリット。
  • 成功率を格段に上げる「葉の選び方」と最適な「時期」。
  • 「水差し」で発根させる具体的な手順と管理方法。
  • 「土植え」で直接葉挿しする具体的な手順と管理方法。
  • 水差しと土植え、それぞれのメリット・デメリット徹底比較。
  • 葉挿しが失敗する「3つの主な原因」とその対策。

皆さん、こんにちは。

「お気に入りのサンスベリアを、もっと増やしてみたい」

「根腐れで枯れそうだけど、なんとか再生させたい…」

そう思っている方に、ぜひ知ってほしいのが「葉挿し(はざし)」という増やし方です。

サンスベリアの葉挿しは、その名の通り「葉っぱ1枚」から新しい株を育てる、とてもエキサイティングなサンスベリアを増やすのテクニックです。

サンスベリアの根腐れや枯れるといったトラブルで弱ってしまった株の「保険」や「救済策」としても、非常に有効な手段なんですよ。

しかし、葉挿しは「ただ葉っぱを切って挿しておけばOK」というほど単純ではありません。

適切な手順と「ちょっとしたコツ」を知らないと、「いつまで経っても新芽が出ない」「切った葉が腐ってしまった」という失敗に陥りがちです。

この記事では、サンスベリアの葉挿しの成功率を90%以上に引き上げるための、葉の選び方から「水差し」「土植え」それぞれの具体的な手順、そして失敗しないための管理方法まで、私の経験をすべて詰め込んで徹底解説します。

この記事を読めば、初心者の方でも安心して葉挿しにチャレンジでき、小さな新芽が出てくる感動をきっと味わえるはずです。

目次

  • 葉挿しとは?基本とメリット
  • 成功の鍵!葉の選び方と時期
  • 【手順】水差しでの葉挿し
  • 【手順】土植えでの葉挿し
  • 水差し vs 土植え 徹底比較
  • 葉挿しが失敗する主な原因
  • 新芽が出た後の管理方法
  • まとめ:葉挿しで感動体験を
  • 葉挿しに関するFAQ

葉挿しとは?基本とメリット

葉挿し(はざし)とは、親株の葉の一部をカットし、それを土や水に挿して発根・発芽させ、新しい株を得る「増やし方(栄養生殖)」の一つです。サンスベリアは非常に生命力が強いため、この葉挿しが比較的簡単に成功する植物です。

なぜ「葉挿し」で増えるのか?

サンスベリアには、「不定芽(ふていが)」という、根や芽になる能力を持った細胞葉脈に沿って存在しています。

葉をカットしてに挿しておくと、その切り口(または葉脈)からカルス(かさぶたのような組織)が形成され、そこから新しい根と芽(子株)が発生するのです。まるでトカゲの尻尾が再生するように、葉っぱ1枚から個体が再生・増殖できるのは、植物ならではの神秘ですよね。

葉挿しのメリット

サンスベリアを「株分け」ではなく「葉挿し」で増やすことには、3つの大きなメリットがあります。

  1. 効率的に増やせる:株分けは親株が大きく育たないとできませんが、葉挿しは健康な葉が1枚あればOKです。さらに、1枚の葉を5cm〜10cm程度に分割して複数挿すことで、一度にたくさんの株を得ることも可能です。
  2. 親株へのダメージが少ない:「サンスベリア 植え替え」と同時に行う株分けは、根をナイフで切り分けるため、親株にも子株にも大きなストレスがかかります。一方、葉挿しは葉を1〜2枚カットするだけなので、親株へのダメージは最小限で済みます。
  3. トラブル株の救済(保険):これが最大のメリットかもしれません。「サンスベリア 根腐れ」を起こして根や(土の中の)地下茎が腐ってしまった場合でも、葉さえ無事であれば、その葉を使って葉挿しすることで、全く同じ個体を救出(再生)することができます。

成功の鍵!葉の選び方と時期

葉挿しの成功率を左右する最も重要なポイントは、「いつ、どの葉を選ぶか」です。ここを間違えると、発根・発芽の確率が大きく下がってしまいます。

最適な時期:5月~8月(生育期)

葉挿しは、サンスベリアの生育期(気温20℃〜30℃)に行うのが鉄則です。

具体的には、梅雨明けからお盆過ぎくらいまでの「5月〜8月」がベストシーズンです。

  • なぜ生育期なのか?:気温が高い時期はサンスベリアの成長スイッチが入っており、発根・発芽のスピードが圧倒的に速いからです。
  • NGな時期:気温が15℃以下になる秋〜冬の休眠期は絶対にNGです。成長が止まっているため、葉挿しをしても発根せず、切り口から腐敗して失敗します。

葉の選び方:「元気で肉厚」が基本

「親株」として葉を選ぶ際は、以下の3つの条件を満たすものを選んでください。

  1. 病気や傷がない、元気な葉:黄色く変色していたり、斑点が出ている葉、シワシワになっている葉は避けましょう。緑色が濃く、ハリとツヤがある健康な葉を選びます。
  2. 「古すぎず、若すぎない」葉:新芽として出てきたばかりの柔らかい葉(中心部の葉)は、水分や養分が少なく、腐りやすいため不向きです。逆に、外側にある古すぎる葉もエネルギーが少ない場合があります。「外側から2〜3番目」の、成熟して肉厚な葉が最適です。
  3. 肉厚であること:葉挿しは、発根・発芽するまでの間、葉に蓄えられた水分と養分だけで生き延びます。そのため、ペラペラの薄い葉よりも、分厚くしっかりした肉厚の葉を選ぶ方が、成功率は圧倒的に高くなります。

【手順】水差しでの葉挿し

「サンスベリア 水差し」は、根が出る様子が目に見えるため、初心者にも人気で、私も大好きな方法です。発根までのプロセスを楽しみながら管理できます。

ステップ1:葉のカットと乾燥(最重要)

  1. カット:選んだ健康な葉を、清潔なハサミやカッター(アルコール消毒推奨)で根元から切り落とします。長い葉の場合は、それを5cm〜10cmの長さに輪切りにします。
  2. 上下の目印:サンスベリアは上下の区別があり、逆さまに挿すと発根しません。輪切りにした場合は、どちらが「下(根元側)」だったか、油性ペンで矢印(↓)などを書いておきましょう。
  3. 乾燥(キュアリング):これが最重要ポイントです!カットした切り口を、風通しの良い日陰で丸1日〜3日ほど置き、完全に乾燥させます。切り口がコルク状に乾き、「かさぶた」ができればOKです。この乾燥作業を怠ると、水に浸けたときに切り口から雑菌が入り、99%腐敗します。

ステップ2:水に挿す

  1. 容器:ジャムの空き瓶やコップなど、透明な容器がおすすめです。(根の様子が観察できるため)
  2. 挿す:乾燥させた葉の下(根元側)を水に浸します。水に浸かるのは、葉の下から1cm〜2cm程度で十分です。深く浸けすぎると腐りやすくなります。
  3. 管理:直射日光が当たらない、明るく風通しの良い室内(レースカーテン越しの窓辺など)に置きます。

ステップ3:発根・発芽までの管理

  • 水換え:水は毎日〜2日に1回は必ず交換してください。夏場は雑菌が繁殖しやすいため、水が濁るのを防ぐことが成功の鍵です。
  • 発根促進剤:必須ではありませんが、水換えの際に「メネデール」などの発根促進剤を規定量加えると、発根が早まる効果が期待できます。
  • 発根の目安:早いもので2〜3週間、遅いと2ヶ月ほどで、白い根がニョロニョロと出てきます。
  • 発芽の目安:根が出た後、さらに1〜2ヶ月ほど待つと、根の付け根あたりから小さな「新芽(子株)」がポコッと顔を出します。

【手順】土植えでの葉挿し

土植えは、水差しのように頻繁な水換えの手間がなく、発根後に植え替える必要もない「放置OK」な方法です。発芽率は水差しと変わりません。

ステップ1:葉のカットと乾燥(水差しと共通)

水差しステップ1全く同じです。

  1. 清潔な刃物5cm〜10cmカットします。
  2. 上下(↓)がわかるように目印をつけます。
  3. 切り口日陰1日〜3日カラカラになるまで徹底的に乾燥させます。

ステップ2:土に挿す

  1. 用土:「挿し木・種まき用の土」(肥料分がなく清潔)がベストです。観葉植物用の土でも代用できますが、肥料分が入っていると切り口が腐る原因にもなるため、無菌の土が望ましいです。赤玉土(小粒)や鹿沼土(小粒)だけでもOKです。
  2. 鉢:浅めのトレーや2〜3号の小さな鉢を使います。
  3. 挿す:乾燥させた葉の下(根元側)を、土に挿します。葉が倒れない程度(深さ2cm〜3cm)に挿せば十分です。

ステップ3:発根・発芽までの管理

  • 水やり:挿した直後は、土が湿る程度に一度だけ軽く水を与えます。その後、根が出るまで(約1〜2ヶ月)は、「サンスベリア 水やり」の基本とは異なり、土の表面が乾いたら霧吹きや少量の水で湿らせる程度にします。※注意: 挿した葉には根がないため、土をビショビショにすると100%腐敗します。「常にほんのり湿っている」状態をキープするのがコツです。
  • 置き場所:水差しと同様、直射日光が当たらない、明るく風通しの良い室内で管理します。

水差し vs 土植え 徹底比較

「水差しと土植え、どっちがいいの?」という疑問にお答えします。どちらも一長一短があり、成功率は変わりません。ご自身の管理スタイルに合わせて選ぶのが一番です。

比較項目水差し土植え
成功率高い高い
発根・発芽◎ 見える(早い)× 見えない(やや遅い)
管理の手間△ 頻繁(毎日の水換え)◎ 楽(霧吹き程度)
腐るリスク△ 高い(水が腐りやすい)○ 低い(土が乾きやすい)
植え替え△ 必要(発芽後)◎ 不要(そのまま育てられる)

水差しがおすすめな人

  • 「根が出る瞬間」を観察したい人。
  • 毎日ちゃんと水換えできる人(マメな人)。
  • 清潔な土用意するのが面倒な人。

土植えがおすすめな人

  • 毎日水換え面倒だと感じる人(ズボラな人)。
  • 発根後植え替える手間省きたい人。
  • 一度に大量葉挿し管理したい人。

葉挿しが失敗する主な原因

「葉挿しをしたけど、腐ってしまった」「何か月待っても何も起きない」という場合、原因はほぼ以下の3つに集約されます。

原因1:切り口の乾燥不足

これが失敗原因のNo.1です。

切り口が生乾きのまま水や湿った土に触れると、そこが雑菌の侵入口となり、切り口が溶けるように腐敗します。最低1日は乾燥させるキュアリングが必須です。

原因2:時期が悪い(低温)

秋〜冬の休眠期に葉挿しをしても、サンスベリアは活動していないため発根しません。水や土に挿した葉は、活動できないまま体力を消耗し、やがて腐敗します。必ず気温20℃以上の生育期に行いましょう。

原因3:水のやりすぎ(土植え)

土植えの場合、発根するまでは葉は水を吸えません。それなのにサンスベリアの育て方と同じ感覚で土に水をジャブジャブ与えると、土が乾かず、挿した葉は窒息して腐ってしまいます。発根までは霧吹きで湿らせる程度に留めてください。

新芽が出た後の管理方法

葉挿しで最も感動する瞬間、それは小さな新芽(子株)が顔を出した時です。新芽が出たら、管理方法を「葉挿しモード」から「育成モード」に切り替えます。

水差しで発芽した場合

新芽大きさ1cm〜2cm)が確認できたら、植え替えタイミングです。

  1. 3号鉢(直径9cm)程度の小さな鉢を用意します。
  2. 水はけの良い観葉植物用の土(またはサンスベリア用の土)を入れます。
  3. 根と新芽、そして親である葉も一緒に植え付けます。(親の葉は、新芽が大きくなるための栄養タンクなので、まだ切り離しません)
  4. 植え付け後の水やりは、根が土に馴染むまで1週間ほど待ち、その後通常通りの水やり(土が完全に乾いたらたっぷり)に切り替えます。

土植えで発芽した場合

土植えで新芽が出てきた場合、特に植え替えは必要ありません。

新芽がある程度(高さ5cm〜10cm)に育つまで、そのままの鉢で育てましょう。

水やりは、新芽出たことを確認したら、「霧吹き」から「通常の水やり」(土が乾いたらたっぷり)に徐々に切り替えていきます。

「親」である葉は、新芽が大きくなり、親の葉の養分を吸い尽くして、自然にシワシワに枯れるまで(約1年〜2年)、そのままにしておくのがベストです。

まとめ:葉挿しで感動体験を

サンスベリアの葉挿しは、正しい手順と「時期」「乾燥」という2つのコツさえ守れば、非常に高い確率で成功**します。

  1. 時期: 気温20℃以上の生育期(5月〜8月)に行う。
  2. : 元気肉厚な葉を選ぶ。
  3. 乾燥: カットしたら切り口1日〜3日徹底的に乾燥させる。(最重要)
  4. 管理:
    • 水差し: 毎日水換え
    • 土植え: 水を与えすぎず、湿らせる程度。
  5. 待つ: 発根まで1ヶ月発芽までさらに1〜2ヶ月気長に待ちましょう。

1枚の葉っぱから小さな新芽が誕生する瞬間は、植物を育てる喜びを最も感じられる瞬間の一つです。

「サンスベリア 枯れる」と諦めかけていた株の救済にもなる「葉挿し」。

ぜひこの記事を参考に、チャレンジしてみてください!

葉挿しに関するFAQ

Q1. 斑入り(黄色い縁取り)のサンスベリアを葉挿しするとどうなりますか?

A1. 残念ながら、ほぼ100%の確率で「斑(ふ)が消え」、緑色一色の先祖返りした株(ローレンティー種であれば、ゼラニカ種)が出てきます。斑は葉緑素の突然変異(キメラ)であり、葉挿し(栄養生殖)ではその特徴が遺伝しないためです。もし斑入りの特徴を引き継いだまま増やしたい場合は、「葉挿し」ではなく「株分け」を行う必要があります。

Q2. 葉挿しをして3ヶ月経ちますが、根も芽も出ません。失敗ですか?

A2. 時期(5月〜8月)に正しく行い、挿した葉が腐ったりシワシワになっていなければ、まだ失敗と決めるのは早いです。サンスベリアの品種や個体差、環境によって、発根・発芽までに半年以上かかるケースも珍しくありません。葉が元気なうちは、諦めずに管理(水換えや土の湿らせ)を続けてみてください。

Q3. 葉挿しに向かない(成功しにくい)品種はありますか?

A3. サンスベリア・スタッキーやキリンドリカのような「棒状」の品種は、葉挿しが可能ですが、成功率は低い傾向にあります。これらの品種は、発根はしても新芽が出にくいことが多く、出たとしても親とは異なる形の芽(細く軟弱な芽)が出やすいです。これらの棒状品種を増やしたい場合は、「葉挿し」よりも確実な「株分け」(または地下茎をカットする「胴切り」)を推奨します。

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